カリフォルニアは外出禁止令、外出自粛令が出てから6ヶ月。

カウンティの感染率によってビジネス関係の禁止令が緩和されつつあるという状況です。

コロナ、猛暑、大規模な山火事、そして煙で太陽がオレンジ色に見える日々が続きました。

ようやく青空が見えて、空気汚染も最悪を乗り切りました。

と書いたのですが、9月28日、現在、またしてもナパのセントヘレナの東にある山が火事になって、避難命令が出ている地区があります。火がソノマまでやってきて、ソノマの一定の地区も燃えています(溜息)。

山火事、異常高温で停電、煙汚染がコロナに重なったのだから、どこかへ逃げたーい!の強い欲求は無理もないですよね。

この状況から少しの時間でも逃れたいと、サンフランシスコ近辺のお金持ちがナパへやってきます。

ナパのセントヘレナ市のハウエルマウンテンの麓にひっそりと立っている豪華なリゾートホテルとレストラン、メドウッド(ミシェラン3星)は9月半ばの土曜日(猛暑、停電、煙汚染真っ最中)のウエイティングリストはなんと140人だったとのことです。室内のテーブルは12席、テイスティングメニューはお一人様$360。(*9月28日現在、山火事発生のためメッドウッドは避難命令が出ていますが、焼けてしまうことは避けることができたようです)。

ナパは感染率が低くなったので、室内での飲食が許可されています。でも収容可能人数の25%のみで営業しなければなりません。それでも高級レストランはオープンするメリットがあるということです。

よく知られているレストラン、フレンチランドリーでは、室内で食事ができるのは15席(通常は60席)です。お一人様$850のスペシャルテイスティングメニューは以前よりももっと早くに売り切れるそうです。ちなみにテラスでのディナーはお一人様$350。

ナパのウエスティン ホテルにあるラ・トーク(La Toque)も大繁盛。ベイエリア(基本的にサンフランシスコ周辺)の住民はミニヴァケーションだとして、ホテルにチェックインしてディナーを楽しむ人が結構いるとのこと。

サンフランシスコにはたくさんのミシェランの星付きレストランがありますが、ナパのように大繁盛ということはなさそうです。まず室内での飲食がまだ許可されていません(もうじき許可になるようです)。それにサンフランシスコの夏は涼しい日が多くて、外でのディナーは難しいため、高級レストランは閉店しているところが多いです。「今年はミシェランの星をもらってもねー、お客さんは来ないんだから、、、」という声も聞きますが、無理もないですよね。

サンフランシスコの高級レストランによっては特別のプラスチックのバブルを作って、オープンして、コース$200といったディナーを出しているレストラン、Hashiri とかQuinceといったレストランがありますが、営業状態はどんなものか、わかりません。

お金があれば、ナパで空は真っ青じゃなくても、手入れの行き届いた庭の緑に囲まれて、素晴らしいサービスを受けて美味しい食事を楽しんでストレス発散ができますね。

自分で稼いだお金なんだから、どのように使おうが自由です。

ゆったりとディナーを楽しんでいる場面に、フードバンク(連邦政府の補助金と寄付金で食料品を保管して受け取りに来た人たちやコミュニティに食料品を渡す組織)から食料品を受け取るために並んでいる長〜い車の列のテレビの映像が重なります。食料を受け取るのは初めてだという人も多いと報道されています。

カリフォルニアの調査会社の発表によると、コロナウイルスに対する心配度は貧困層とカラード(非白人)層は高く、白人層はすごく心配しているという率は低いと報告されています。

コロナが発生した初期からカリフォルニアだけではなく、全米でアフリカ系アメリカ人とラテン系のコミュニティに多くの感染者が出てます。

カラード(非白人)のコミュニティの人達と低所得層の人たちは、人と接触する仕事の多くを担っていることから、感染するかもしれないという危機感が、当然、非常に高いです。

カリフォルニアの全体では感染して入院する危険を強く感じている率は28%ですが、細かく見ると年間所得が4万ドル(約422万円)以下の層で危機感を感じる率は34%と高くなっています。さらにアフリカンアメリカンでは48%、ラテン系の人たちは39%と高くなっています。

それに対して年間所得が8万ドル(約844万円)以上の裕福層はたったの17%が危機感を感じると答えています。裕福層の多くの人たちはオンラインで自宅勤務で仕事を続けているので収入には影響がありません。自宅で仕事ができるので、ソノマやタホ(スキーと湖がある別荘が多い町)に家を買って住み始めた人が増えて、家の価格が高騰しているため、貸していた家を売る家屋所有者が多くなって、借りていた人たちは安い賃貸家屋を探すのに苦労しているという現象が起きています。ソノマに住む女友達の地区では現金で家を買っている人があちこちにいると話してました。

コロナが発生して経済活動が制限されて6カ月が経った時点で、個人としての経済状況が良くなったと答えている人は全体的には46%という数字ですが、年間所得が4万ドル(約422万円)以下の層は良くなったと答えている人は22%,アフリカ系アメリカ人は32%、ラテン系の人たちは29%と少ないです。

年間所得が8万ドル(約844万円)以上の富裕層の70%が経済状況は非常い良いと答えています。

私が住むソノマも例外ではありません。メキシコ人の女性はコロナ前は数家庭の掃除をする仕事をしていたのですが、コロナの影響で仕事を失ってしまいました。知人からサンフランシスコに住む女性がソノマの別荘の掃除をする人を探しているというのを聞いて応募しました。採用されて早速仕事を始めたのですが、そのサンフランシスコの女性からコロナを感染してしまいました。健康保険も持っていなくて、もしかしたら違法移民かもしれないメキシコの女性は、コロナに感染したと伝えたら、もう来なくてもいいといわれて、1日40ドル(約4220円)の支払いもされなかったということです。

彼女が住むラテン系の人が多い地区では、コロナに感染して仕事を失うと生活できなくなることから、感染を隠して仕事を続けている人も少なくないと話しています。

所得と人種が絡んで二つのカリフォルニアが存在しています。コロナの感染率は貧困層と富裕層の所得の格差と人種に深く関係していることが浮き彫りになりました。

カリフォルニアには二つの物語があるということですね。

それにしても、またしても太陽がお月さまのように丸くてオレンジ色になっています。

カリフォルニアの新しいノーマル!気が休まりません。

*各サイトの写真を使わせていただきました。