Chateau Montelena & Tamber Bey

Chateau Montelena & Tamber Bey

10月半ば雨の合間を縫ってカリストガー地区にある2つのワイナリーを訪れてみた。長い歴史を誇るシャトー・モンテレーナ(Chateau Montelena)と栽培農家からワイン生産も始めた(2001年が初ヴィンテージ)タンバー・ベイ(Tamber Bey)の二つ。

シャトー・モンテレーナはご存知のように1973年シャルドネが1976年のパリのテイスティングでフランスのワインを抜いてトップになったことで知られるワイナリー。今もそのスタイルを、キープしている。1973年のシャルドネがどのように造られたのか、その当時の醸造技術と設備から推測してみても、醸造法は近代化されているから洗練されたワインになっていると思う。何年か前にパリのテイスティングがBottle Shock という題名で映画化されたけれど残念ながらヒットしなかった。ソノマのプラザが結構撮影に使われていたので、それを見るのが私には楽しかったけれど。このテイスティングに若きジャーナリストとして参加していたGeorge Taber 2005年に出版した Judgment of Paris という本が、今もテイスティングルームで売られていた。

タンバー・ベイはふくよかでフルーティ、アルコール度もやや高め(というかナパの標準かな?)のナパの典型的な今風のスタイルのワインを造っている。

一緒に行った友人はカリフォルニアワイン大好きの一人なので、タンバー・ベイのほうを嬉しそうに味わっていた。シャトー・モンテレーナのほうはいまひとつ感動していない様子だった。

どちらのワイナリーがベターかというこというよりは、どちらも良く造られているので、どちらが好みか、楽しめるかということなのだと思う。

欲張りなワイン飲みの私は、その違いを楽しめる機会が得られて嬉しかった。

タンバー・ベイは食事の前に夕日などを眺めながら、一杯、サラダくらいまで、メインはシャトー・モンテレーナで楽しんで、食後にまたタンバー・ベイでリラックスというように贅沢に楽しめたら最高だ。

シャトー・モンテレーナ(Chateau Montelena

1882年にAlfred Tubbs という人物がカリストガのこの地にブドウを植えて、1886年に初ワインを生産している。このワイナリーがある道路はTubbs Laneと名づけられている。カリフォルニアの古いワイナリーにお馴染みのストーリーで、禁酒法時代はブドウをキリスト教の儀式用に売って生き延びて、禁酒法廃止後、ワイナリーを復興、その後、シャトー・モントレーナが手に入れて、現在に至っている。ボトル・ショックの映画で主人公となっていた、長男のBo Barrett(イケメン)は1972年からブドウ栽培の手伝いを始めて、1982年から醸造を担当。現在は醸造の管理は彼がしているけれど、醸造家を雇っている。

カリストガ地区は2009年にAVAとして認定されている。ナパ・ヴァレーの北端、マウント・セント・ヘレナの山麓に位置している。ナパ・ヴァレーは北へ行くほど海の影響を受けないから、気候は暖かだ。年によってはカベルネ栽培に暑すぎるかも、、、と、私は思う。

このワイナリーのカベルネ・ソーヴィニヨンはスタイルを守っているのか、それとも今風のスタイルに変えることが出来る栽培条件ではないのか、、聞く機会がなかった。

テイスティングルームにはボストンとかワシントンDCから来たという人が多かった。東海岸のワイン好きはこのスタイルに馴染んでいるのだろうね。

印象に残ったワイン

2012年シャルドネ $50

ブドウはナパヴァレーの真ん中辺りにあるオークノルという地区から買ったもの。マロラクティック発酵は50%。フレンチオークの新樽使用率は8%で、樽熟成は10ヶ月。香りはおとなしい。でもシャルドネブドウの香りがいい感じ。青リンゴのさわやかな香りが少しと明るい酸味。今、時流になってきているスタイル。

2005年エステート・カベルネ・ソーヴィニヨン$165

コクがあって、まだフルーティさが残っていて、十分熟したブドウから造られた良いワイン。

2010年エステート・カベルネ・ソーヴィニヨン$150

上品なチェリー、カシス、クローブの味と香り。ボディは中位。少しだけセメダインの香り。ヴィンテージのせいなのか、このワイナリーのスタイルなのかはわからないけれど、酸がしっかりと利いている。でも高いね。

タンバー・ベイ(Tamber Bey

オーナーのBarry Waitte 1999年にヨントヴィルに60エーカーの土地を買って、ブドウの栽培を始めた。2000年にオークヴィルに3エーカーの土地を買って、カベルネ・ソーヴィニヨンを植えている。ブドウをワイナリーに売っているだけでは飽き足らなくなり、自分のワインも造り始めたというよくあるお話。

初ヴィンテージは2001年。2013年にワイナリーを建てている。

オーナーは馬をこよなく愛しているようで、ワイナリーの名前、ワインの名前、自社畑の名前はすべて馬にちなんでいる。サンダンス・ランチと名づけた農場と隣りあわせで、良くわからないけれど血統のよさそうな馬が飼われている。馬好きな方に取っては、馬を見ることもできて楽しいかも。オーナーご夫妻は競技の名前は忘れてしまったけれど、数日後に5時間、馬に乗って歩く?競技に参加するとのこと。時には10時間のに参加することもあるのだそうだ。

印象に残ったワイン

2013年ソーヴィニヨン・ブラン Tench Vineyard, Yountville $34

オークヴィルにある樹齢13年のソーヴィニヨン・ブランのブドウを買って生産している。ソーヴィニヨン・ブランらしいきれいなグラシーなアロマ。レースのような酸。瑞々しい味わい。飲んだ瞬間からインパクトのあるいい意味でカリフォルニアらしいソーヴィニヨン・ブラン。50%がステンレスタンクで発酵、50%はアカシアの木の樽だとのことで、フレンチオークから生じるバニラ香がない。アルコール度は148%。最近の白ワインとしてはちょっと高めだけれど、このタイプが大好きという方も少なくないのだろうね。

2012年ディジョン・シャルドネ Deux Chevaux Vineyard, Yountville $55

ヨントヴィルにある自社畑のディジョン・クローンのシャルドネから生産。口当たりにとろみがある。きれいな酸味の長いフィニッシュ。ミネラルとオークの香りと味わい。フレンチオーク発酵、マロラクティック発酵は100%。アルコール度は14.7%。このタイプのシャルドネファンを意識して、上手に造られている。

2012年シャルドネTrio Vineyard $34

ヨントヴィルにある畑のシャルドネを買って生産。こちらもディジョン・クローン。ノーオークで酸味がパリッとしていて、十分に熟したシャルドネ風味。とても良く造られている。

2012年カベルネ・ソーヴィニヨンDeux Chevaux Vineyard, Yountville 50

カベルネ・ソーヴィニヨン80%とメルロー20%のブレンド。かなり熟したブドウの味。黒系フルーツ、カシス、ふくよか。口当たりがソフト(多少ふにゃふにゃ?)フィニッシュに酸をきかせた造り。この値段なら飲みやすいし、いいんじゃない?

その他の赤も上手に造られている。ナパの平地の畑から造られた典型的なナパ風のワイン。個性は感じられなかった。