No.39 美味しいワインを探して (その2)

No. 39  Date:2009-04-27

カベルネ・ソーヴィニヨン、ボルドー・ブレンド  

以下の生産者がボルドーの第1級とされている。
Margaux
Lafite-Rothschild
Haut-Brion
Mouton-Rothschild
Latour

ずいぶん前の話だけれど、ある試飲会でワインを注ぐのを手伝っていたら、日本人の青年が「第一級のワインを注いでください」と言った。カリフォルニアワインが今ほど世界で高い評価を受ける前のこと。カリフォルニア(世界の?)のワインがボルドーのようにクラス分けされてると思ったのだろう。カリフォルニアにはワインのクラス分類のシステムはない。だからどのようにしてトップクラスのワインと位置づけるのか、偉大なワインと位置づけるのか、今のところ明確な定義はないこと、偉大なワインはどういう基準で決められるべきかを前回書いた。その基準に従って、カリフォルニアの第1級になるかもしれないカベルネ・ソーヴィニオンとボルドー・ブレンドをリストアップしてみた。
アラホ、
ハーラン
シェーファー、 ヒルサイド・セレクト
スポッツウッド
リッジ、モンテベロ
ジョセフ・ヘルプス、インシグニア

皆さんのご意見は?

ボルドーとカリフォルニアのカベルネ・ソーヴィニヨンの主な違いとして果実風味、ペーハー、アルコール度があげられる。
ブドウが生育する期間、カリフォルニアは乾季だから雨が降らない。からりとした空気の中で太陽光線をたっぷり浴びてブドウが生長していく。だからブドウはよく熟する。夏に雨が降るボルドーのブドウとカリフォルニアのブドウでは風味が違って当たり前。数年前に7月にボルドーへ行ったら、毎日、雷を伴って激しい夕立。これじゃブドウもたまったものじゃないわなと実感した。
ワインはブドウから造られるのだから、原料のブドウの味が違っていたら、当然、違ったタイプのワインになる。カリフォルニアの果実味たっぷりのワインを好むか、果実よりスパイスとか土っぽい香りと味わいのボルドーを好むのか、これは個人の好みの問題。一般的な話として、ボルドーのペーハーは低く、ナパ・ヴァレーのカベルネのペーハーは高いとされている。最近は世界的に似たタイプのワインが造られているので、ボルドーのワインが絶対的にペーハーが低いとは必ずしもいえない。
*PH(ペーハー):酸性、あるいはアルカリ性かを測る数字。数字が低いと酸性が強く、レモンジュースのように酸っぱい。7が中性。ワイン、ブドウ果汁は一般的に3-4。ペーハーが高いカベルネ(よく熟してから摘むため)だと例えば3.8とか3.9というのがある。こういうワインはペーハーが低いワインに比べるとソフトで酸味をあまり感じない。

大半のカリフォルニアワインはアルコール度が14.5%前後だ。それはブドウを完熟させるために遅くに摘むから、糖度が上がっているので、出来上がったワインはアルコール度が高くなる。もっとも良い年のフランスのワインもアルコール度が高い。良い年というのは気候が暖かく、糖度が十分に上がった年ということだから、アルコール度も高くなるのだ。高いアルコール度は口に含むと甘味を感じる。完熟するまで摘まずに待つのは、未熟ブドウから出る野菜を想わせる風味が無くなることを確実にするためだ。カリフォルニアほど気温が上がらないボルドーは、完全にブドウが熟するまで待ってたら、秋が来てしまう年もある。だから年によっては熟したフルーツというより、どちらかと野菜を思わせる風味の赤ワインが生まれる。

カリフォルニアのカルトワインは長期熟成するのかどうか?
すると言う人としないという派に意見が分かれている。どちらの意見も当たっているし当たっていない。長期熟成するワインもあればしないワインもある。一般化することはとても危険。カルトワインを含むカリフォルニアの赤ワインで、バランスがとれたワインは長く熟成する。

カベルネ・ソーヴィニヨンというとナパ・ヴァレーのワインがまず頭に浮かぶ。華やかな黒系フルーツの香りと味。口当たりが滑らかでフルボディ、濃いワイン。でもそうではないタイプのカベルネももちろん造られている。例えばソノマ・マウンテンにあるローレル・グレン(Laurel Glen)の酸味が豊かで引き締まった長熟タイプのカベルネ。それからサンタ・バーバラ・カウンティのスター・レーン(Star Lane)の十分によく熟しているのだけれど、ナパのカベルネのようなフルーツの甘味が少なく構成がしっかりしているカベルネ。タイプの違うカベルネを探して飲んでみるのも楽しいと思う。

最近、お金とワインについて十分な知識(生産、栽培を含めた)があればワイナリーもブドウ畑もなくてもワインを造ることが出来て、実質的にワイナリーを所有することが出来る。実際、そういうワイナリーがたくさん誕生している。そういうワインを造る設備を備えた場所が出来てきている。いつかその場所についても書いてみたい。ソノマにあるそういうワイナリーのひとつを紹介したい。
Sojourn Cellars
生産量は3500ケース。ソノマ・ヴァレーでエレガントなピノとカベルネを生産。高級ブドウ園のブドウを使って少量、質のいいワイン造りを貫いている。
ピノ・ノワールは4つのブドウ畑名入り、カベルネ・ソーヴィニヨンは3つのブドウ畑名入りを生産している。デリケートなスタイルのワインが特色。今のところメーリングリストによるディレクトメールによる販売が主。日本からも注文が入っているといっていた。「すごいワインでしょう!」と迫ってくるワインじゃなくて、凝縮度は少ないけれど、軽やかで上品でそれでいて味わいがある、ほっとさせてくれるワインが飲みたい方にぴったりのワイン。 www.sojourncellars.com