No.42 シャンパン苦戦

No. 42 Date:2009-11-02

シャンパン苦戦

シャンパン、スパークリングワインは特別なときに飲むものという印象がしっかり消費者の頭に植え付けられている。結婚式、誕生日、結婚記念日、デートで彼 女がシャンパンが好きだからまあ飲むかっていうときに飲む。レストランでシャンパンをオーダーしてソムリエさんから「今日は何か特別な日でしょうか?」っ て聞かれたことがある人も多いのでは?それから野球のワールドシリーズで優勝すると、シャンパンボトルを振って泡をたくさん作って、かけっこするのに使わ れる。なんともとももったいない話ではある。
シャンパンは決して安くないから、特別な日の飲み物になってしまうのも当然かもしれない。カリフォルニアのスパークリングワインは、高いのもあるけれど、 フランスのシャンパンに比べるとまだ価格は目が飛び出るほどではない。それにシャンパンよりフルーティでボディもあるから、食事と合わせても大丈夫なの で、シャンパンほど苦戦を強いられないかもしれない。
アメリカでシャンパンが良く売れるのは11月と12月。この2ヶ月で年間売り上げの40%を占めるという。
シャンパンの売り上げが不振なので、アメリカでは11月にシャンパンの値が下がるだろうといわれている。それで私は大晦日に飲むシャンパンが安く手に入るかもしれないと期待している。
ドンペリニョンは生産量が20万ケースだそうで、もう、なかなか手に入らない特別なシャンパンではない。実際、コストコという大手のメンバーシップのスー パーで、毎年、ドンペリニョンを150ドルほどで販売している。今年の年末にはもしかしらた、1本の価格が100ドルを切るかもしれないと憶測も飛ぶ。

 

不況の現状

高級ワインを生産して高い評価と自己満足を得ようとしていたワイナリーが、不況時にリリースがぶつかってしまい困惑しているケースも少なくないと聞く。
良いブドウ畑を手に入れ、高級感あふれるワイナリーを建設、ワイン知識のある従業員も揃えて高級ワインを高額で売るというプランに向かって着々とまい進、いざ1本100ドルでリリースした矢先に、この不況。
不況前は、「1本が100ドルもするから、これはいいワインかもしれない。それにラベルも感じいいし、カルトワインのひとつになるかもしれない」と言って 買う人がいた。今はブランド名と質についての定評が未知のワインを、100ドル出して買おうという人は少ない。タイミングがとっても悪かった。
不況前は話題になる高額高級ワインへとなびいていた人たちが、今、安くて美味しいワインへと購買価格が下へ向かってなびいている。
この現象は、不況が終わると止まって、また元へ戻るという予測と、簡単に戻ることはないだろうという2つの予測がある。
戻らないだろうという予測の理由。
ワインを買う際の基本的な意識に変化が起きて、グッドバリューのワインを買うという方向にシフトされた。今までよりも安いワインを買って飲んでみたら、美 味しいワインが結構あることがわかったので戻らない。だからこの傾向は永久に続くと予測する。さらにプレミアムワイナリーが価格を下げだしているし、ネゴ シアンは、今、良質のバルクワインを安く買えるので、フレンドリー価格で質の良いワインを瓶詰めして出している。そのためフレンドリー価格のワインの質が 今はいい。だから消費者は良質のワインを楽しむのに、高額なワインを買わなくてもいいと思い始めている。
戻るだろうという予測の理由
良質なワインがフレンドリー価格で売られているから、ワインを飲む人が増える。ということはワインに関心を持つ層が増えるということだ。この人たちは不況 が終わると、もっとワインを知りたいというので高いワインを買い始めるだろう。だから高額ワインを買う人が増える。だから高いワインも飲んでみようという 気持ちを持つ消費者が増えるという予測。
どちらの予測が当たっているかこれは不況が終わってみないとわからない。
不況がワイン業界に与えている影響
★ワイナリーはワインクラブというのを持っていて、メンバーに特別の価格で売ったりメンバーだけのワインを売ったりしていた。この売り上げは大きかった。 そのメンバーが失業すると継続できないからキャンセルをする。メンバーも増えない。これがワイナリーの収入に大きく影響している。
★大手のワイン社、例えばコンステレーション、ケンダル・ジャクソン、フォスターは従業員を多数解雇している。
★ブドウの価格が下がっている。栽培農家では、売れなくて廃棄処分になるブドウが出るかもしれない。
★売りに出ているワイナリーが増えている。ワイナリーが売りに出ていてもワイナリーの前に売りの標識を立てたり、派手に告知したりしないので、実際の数字はわからないけれど、ひそかに買い手を求めているワイナリーが多い。
★不況でも比較的好調なのはブランド名が知られていて、ひどく高いと感じさせない価格帯のワインを出しているワイナリー。
★プレミアムワインを生産する小さなワイナリーは打撃を受けている。特に1本が50ドル以上のワインは売れていない。
★いいニュースはセントラル・ヴァレーに拠点を置く安価なワインを大量に生産するワイナリー、例えばガロ、ブランコ・ワイン・カンパニーは売り上げが大きく増えてホクホク。