先日、ロサンゼルスに行ってきました。 久しぶりの ロサンゼルです 。道路も横断用の道も サンフランシスコに比べると 道幅がずいぶんと広いです。 十年前に比べると 華やかでエネルギッシュなレストランが増えているようです。
レストランを出てホテルへ帰るのに、ウーバーを呼んだら、若いカンボジア系アメリカ人の運転手さんがTeslaでやってきました。
「この車はいかがですか?」と聞いたら、「I Love it!」と即答。安定感があって乗り心地が良かったです。ロサンゼルス生まれの青年は「高校生のころは、ギャングが多くて恐ろしくて町を歩くことができなかったけれど、今は安全で安心して歩けるようになりました」と言ってました。
確かにゆったりと歩いてる人が目につきました。 一般的にサンフランシスコの人に比べると、動作がゆったりしてました。

ロサンゼルスへ行ったのは、カリフォルニアのディストリビューター(輸入 兼流通業者)である Chambers & Chambers(チャンバース& チャンバース)の 50周年記念試飲会がロサンゼルで行われたからです。ロサンゼルスの後に サンフランシスコでも行われました。

Chambers & Chambersという会社がADELANTEを扱ってくれています。
レイは仲間たちとアルゼンチンのメンドーサにマルベック種(樹齢70年)を植えた畑を所有しています。その畑のブドウからワインを造っています。 ワイナリーの名前はADELANTE(アデランテ)。
ADELANTEはたった一つのワイン、マルベックしか造っていないので、通常のディストリビューターは売れにくいといって扱ってくれないのですが、この会社はアルゼンチンのワインとしてADELANTEのみを扱ってくれています。Chambers & Chambersで扱われるようになるには、スタッフ一同で試飲をして、みんなで相談して取り扱うかどうかを決めるのだそうです。その試飲会でオーケーが出ました。2年前のことです。
何人かの セールスの方たちと、お話しする機会がありましたが、このたった一つのワインを きちんと知っていて、 的確なコメントをしてくださいました。

Chamber 1 owner
Chambers & Chambers は設立してから50年経ちました。今は女社長のスザンヌが経営してます。50年前にパイロットだった お父さん, Jack Chambers(ジャック・チャンバーズ)が、当時19歳だった彼女と一緒に作った会社です。1973年にサンフランシスコにオフィスを持ちました。 Joseph Swan(ジョセフ・スワン)という 古い ワイナリー(1974年設立)があります。このワイナリの設立者の Joe Swan(ジョー・スワン)はワイナリー設立前はパイロットで、スザンヌさんのお父さんは副操縦士として一緒に飛行機に乗っていました。ジョーはワインにとても詳しく、父親のジャックもすっかり影響を受けて、二人でミネアポリスのワインショップでフレンチワインをしょっちゅう買っていたそうです。
すっかり ワインに取り憑かれたお父さんは、お嬢さんと一緒に何かをしたいということもあったのでしょう 。 お母さんも会社に加わって3人で、 時にはお母さんとお父さん、 時にはお嬢さんとお父さんで、フランスにワインを買いに行きました。パイロットだったことから 飛行機の切符は安いですよね。最初のビジネスはフランスのワイン からだそうです。 その後に カリフォルニアワインも扱うようになりました。最初にカリフォルニアでこの会社のお客さんになったのがはシャローンで、その次がカレラのワインだったそうです。 カレラのオーナーだったジョシュ・ジェンセンは亡くなるまで、ずうっとこの会社と取引をしていたとのことです。ジョシュの誠実さが伺える お話です。

Chamber 2 LA tasting
会社設立50周年を記念して大試飲会を開いたものです。この会社が 扱ってるワインの数は多いけれども、 家族所有のワイナリーが多いようです。 ワールドクラスのワインがたくさんあります。でも高いワインばかりではなくて、 イタリアとかスペインの リーズナブルな価格のワインもたくさんあります。カリフォルニア、オレゴン、ワシントンに加えて、アルゼンチン、フランス(7地区)、ドイツ(3地区)、イタリア(16地区、)ニュージーランド、ポルトガル、スペイン(11地区)のワインが扱われています。
50周年記念の試飲会ということで、なんと70社が(フランス、イタリア、ドイツ、カリフォルニア、オレゴン、ワシントン、ニュージーランド、アルゼンチン)参加してました。
私は一応 生産者(ADELANTE)のスタッフの1人として入ったんですけれども、レイがブースで ワインを注いでいて、私はブースにはほとんどいなくて、いい機会だとばかりに色々なワインを試飲させていただきました。

Chamber 5 Tasting inside印象に残ったワイン。
まず最初に行ったブースが Billecart-Salmon(ビルカール・サーモン)のシャンパン。ぴしっと背広を着たビジネスマン という感じのイケメンのフランス男性がブースに立っていました。綺麗な女性がわっさとブースを囲んでブースから離れないので、 なかなか注いでもらえませんでした。
*Brut Blanc de Blancs Grand Cru
きめ細やかな泡立ち、 ドライフルーツ、アーモンドやヘーゼルナッツの香り。フィニッシュは フレッシュで上品な甘みとかすかな苦みが持続。

Chamber 4 Dujac
その後はDomaine Dujacドメーヌ・デュジャックです. 息子のJeremy Seyssesジェレミー・セイシーズ)が参加してました。親しみのある背の高い 素敵な人でした。前日のレセプションで私とレイのところやってきて、ジョシュ・ジェンセンと親しかったと懐かしそうに話してました。カレラと同じように、この会社設立の早い時期からずうっとビジネスをしていることもジョシュとのつながりの一つなのでしょう。
*2002 Morey-Saint-Denis Rouge, Cote de Nuits(このワインのみをマグナムで注いでいました。)
濃いルビー色、コーヒー、ブラックベリー、アマレットの香り。 味わいは豊かで、チェリーと甘草。 力強いワインと感じました。

CHamber 3 Domaine Comte Georges
もう一つは Domaine Comte Georges de Vogue(ドメーヌ・ コント・ ジョルジュ・ ド・ ヴォギュエ)という ブルゴーニュのワイン。とっても気に入りました。Cote de Nuits地区のワインは美味しいですよね (言うまでもない?)
*2014 Chambolle-Musigny 1er Cru
鮮やかな赤。 レッドチェリー、ラズベリー、砕石、美しい花の深い香り。 軽快でしなやか。ラズベリーゼリー、ミネラル、花の味わい。柔らかなタンニンと繊細でジューシーな長いフィニッシュ。
*2011 Musigny Grand Cru Vielles Vignes
赤と黒のチェリー、プラム、スパイス(梗)、ココア。 口に含むとしなやかでピュアー、深みのある味わい。熟した柔らかなタンニンと余韻の長さが印象的。焦点が絞られた上品なワイン。
カタログの番号制が良く理解できなくて、うろうろしてたら、親切に教えてくれたのが、ロワールのワイナリーのジェントルマンでした。ついで?に試飲させていただきました。
Famille Bourgeois( Loire Valley)ファミリー・ブルジョワ(ロワール・ヴァレー)
*2022 Les Baronnes, Sancerre Blanc
*2019 “d’Antan” Sancerre Blanc
二つともフレッシュでフルーティ、美味しかったです。
イタリアワインもたくさん出ていました。 手頃な価格のワインもたくさんありました。私はここでPiemonte(ピエモンテ)のネッビオーロ を試飲しました。エレガントで、はかなくて消えてしまいそうな 綿菓子のようなワインで、フィニッシュのニュアンスがとても素敵だということを学ばせてもらいました。
Proprieta Sperino (Piemonte) プロパティ スペリーノ (ピエモンテ)
*2018 Uvaggio Coste delle Sesia Rosso
鮮やかなルビーレッド、花の香り。 味わいは軽やかな赤い果実。しなやかで酸味とフルーツ味の 長いフィニッシュ。
*2015 Lessona Nebbiolo
赤いベリーとスパイス。軽やかで飲みやすく深みのある味わい。熟した酸味とタンニンの長いフィニッシュ。
イタリアのトスカーナのワインも好きです。ワイナリーの一つのブースだけ試飲しました。
Casanova di Neri (Toscana)カサノバ・ ディ・ ネーリ (トスカーナ)
*2018 “White Label” Brunello di Montalcino
フルーツとプラムの甘さ。 シトラスの含み。 しなやかでタンニンとスパイス。生き生きとしたフィニッシュ。
*2018 “ Tenuta Nuova” Brunello di Montalcino
軽いスモーキーな土、ブラックチェリー、甘草、スパイスの香り。 フルーティな味わいが口の中に広がる。上質なタンニンとスパイスの長いフィニッシュ。
スペインのワインは時間がなくてRiojaの一社だけの試飲でした。たくましい主婦といった感じのオーナーと少しおしゃべり。
Bodegas Ramirez de la Piscina La Rioja ボデガス・ ラミレス・ デ・ ラ ・ピシーナ (ラ ・リオハ)
2018 Rioja Crianza
2017Rioja Reserva
2016 Rioja Gran Reserva
「子供たちが大きくなって、時間ができたので、今は私が主な仕事をしています」
「Riojaのワインはアメリカンオークが強かったということを記憶しています」と私。
「今はそんなに強くしないようにしてます。うちのワインはフレンチ・オークとアメリカン・オークを半々に使ってます」 と女性オーナー。
スペインのワインもだんだん変わってきてるなと思いました(私が遅れている?) 。

カリフォルニアは北はソノマ、ナパから南はサンタ・バーバラまで多くの栽培地区から39のワイナリーが参加してました。誠実な造りで高品質のワインがそろってました。パーカーワインを集めている会社ではないことがわかります。
爽快だったのはAubert Wine(オーバート・ワイン)。一世を風靡したアルコール度が高くてでかい?シャルドネから今風にアルコール度を少し下げたシャルドネを造ってるのかなあと思って試飲してみました。
ふくよかでフルーティでリッチ、バランスが取れたワインでした。ブースに立っているセールスの男性にアルコール度を聞いたら「14.5と15%です」と誇らしげに答えてくれました。
「アルコール度を下げるとか、スタイルは変えてないですね」と私。
「変えません。 変える必要ないんです。 全部売れますから。このタイプのワインが大好きって人がいますから。 これで大丈夫なんです」と爽快な答え。
個性があって美味しかったです。
この会社はなぜこんなに成功してるのかな と思いました。オーナーはフレンドリーで誠実な女性として知られています。ワイナリーにも従業員(100人)にも誠実なのでしょう。 スタッフ、 特に セールスの人たちは各ワインを良く知っていて、生き生きとして フレンドリーでエネルギッシュ、とても前向きなんです。 品質の良いワインを扱っているという自信と誇りを持っていると感じました。
たった一つしか造ってない レイのワインを、この会社が売ってくれて、とってもラッキーです。
楽しかった 2日間の行事でした